10月2日付投稿記事において、令和3年度創生学部総合型選抜試行試験を9月27日(金)に実施した旨ご報告いたしました。総合型選抜における入学者の選抜は、本学が実施する試験、大学入学共通テスト及び出願書類を総合して行いますが、このうち本学における試験では、「講義に関する課題レポート」が含まれます(詳細はこちら)。
試行試験では、この「講義に関する課題レポート」について、自然科学系、人文社会系各2テーマ、計4テーマの講義(ダイジェスト版含む)を行い、高校教員を含む参加者の皆様に見学いただきました。今回、このうち2テーマの講義タイトル、及びその後の課題レポートで課した設問の出題意図を以下の通り公表いたします。
- 自然科学系『モデルによる現象の理解』
現実世界の複雑な現象を理解する基本的アプローチの1つとして、モデル化がある。実際には複雑な要因で起こるある現象を説明する上で、主たる役割を果たしている因子を適切に抽出し、現実の現象と比較しながら、単純化・数理化して理解する手続きがモデル化である。
講義では、身近な自然現象を例として示しつつモデル化の解説を行った。課題レポートでは、モデルによる現象説明に対する理解力、思考力を問うた。加えて、これまでの実社会や実生活との関わりの事例を整理し、モデル化によって現象を理解しようとする試みを分析して抽出し、それを正しく表現できるかを問うた。
- 人文社会系『セキュリティについて』
講義では、情報セキュリティを守る仕事にある人々が、どのようなポリシーを持ち、どのような脅威と向き合い、どのような対策を取っているかを概説した。高校の普通教科「情報」のカリキュラムよりも一歩踏み込んだ内容である。
課題レポートにおいては、講義内容を踏まえた上で、自らがセキュリティを必要とする立場になった場合のセキュリティの方法を考案してもらった。 焦点となるのは、考案した中身そのものではなく、セキュリティの理論を、各自の環境に応じて、自らのプランに適用できるかどうか、であった。本レポートでは、セキュリティプランの実効性よりも、分析力、応用力、検証力、そして論述力を測ることを意図した。
講義を見学いただいた参加者の皆様との意見交換の場や事後のアンケートからは、
- 知識と現実問題を結びつけようという方向性はいいと思った。
- 概ね高校生活のなかで身近なことに関連づけて学んでいれば対応できると感じた。新学習指導要領に沿って、思考力・判断力・表現力を育成する授業にシフトさせる必要を感じた。
- 知的な思考方法を訓練してきたかが問われていると感じた。
- 文系/理系問わず、その場で与えられた題材について理解・分析する能力が必要とされると考えており、そのような力を高校で育てる方向に行くべきと感じた。
といった前向きなご意見を多くいただきました。
また、
- 高校での特定科目の履修状況で差が出るようなテーマは避けるべき。
- 課題の中には、事前知識の有無で有利不利があるものがあった。一部そのような設問となるのはやむを得ないが、講義で得た知識で答えられる問題を中心にすべき。
といった建設的なご意見・ご感想も頂戴することができました。
今後、これらの声を大いに参考にさせていただき、総合型選抜試験本番に向けての試験設計に取り組んで参ります。