高大接続改革を考える会(2/9開催)のご報告とQ&Aについて

2月9日(金)午後、日頃から受験生指導にご尽力されている県内の11高校の先生方と、新潟大学の関係者が集い、入試や入試広報、教育などについて、広く意見交換を行いました。創生学部からは、中村学部長と堀籠学務委員長の2名が参加致しました。

予め募集した事前質問や当日の質疑について、簡単にですが纏めましたので、指導の際の参考にして頂ければと思います。また、創生学部を考えて頂いている生徒の皆さんにも参考になると思います。是非ご活用下さい。

  • 一般選抜(前期)の個別学力試験において英語が必須でなくなるが、英語の力は共通テストで見るということでしょうか。文理融合系であれば英語が重要にも思えます。
    (回答)当該の試験において英語を選択科目とするのは、国語・数学と共に選択科目とすることで受験生の門戸を広げ、より多様な学生を受け入れたいと考えているためです。なお社会の変革に伴って英語力、国語力、数学力は対等に重要となってきており、英語のみを必須とすることの合理的理由が従前に比して薄れていることも背景にあります。
  • 総合型選抜試験合格者と一般選抜試験合格者に学力差が生じているか。生じている場合、入学後にどのような対応をしていただけるか。
    (回答)総合型選抜と一般選抜では、測る学力が異なります。総合型選抜は、一般的な大学入学試験では測れないような汎用的学力を見ていることから、一般入試による受験型学力のある学生とは、もてる学力の内実が異なります。創生学部では両者に入学いただくことで、多様なタイプの学生同士が刺激し合い、互いの弱みを補い合い、強みを活かし合うような指導や教育的対応を行っています。なお、学修上その他で問題や悩みなどが生じるような場合には、全学の関係窓口の他、創生学部で実施している担任制などを通じ、ケースバイケースで学生の相談に乗っております。
  • 創生学部の総合型選抜の講義レポートの評価の観点が分かりにくく、挑戦しにくい面がある。
    (回答)普段の高校での授業をしっかりと受け、その内容を自ら考え、自分なりに理解し、まとめるという当たり前の訓練が創生学部の総合型入試対策になります。この入試方式に関しては、大学の初級レベルの講義を聴講し、その内容を把握して、自分の言葉で表現する力があるかを問うために、一般選抜と異なる方法を採用しています。現代の社会問題についての興味・関心を有しているかどうか、さらに、入学後の大学での学びに十分ついていけるかどうかを測るため、思考力・判断力・表現力などをレポートの文面から総合的に評価しております。
  • 学びたいものが1つの分野に絞れないという生徒に対して勧めることが多いが、そのような指導で良いか。
    (回答)本学部の趣旨に沿ったご指導に感謝申し上げます。そのような生徒様に本学部をお勧めいただければ幸いです。社会はますます複雑化しており、大学で多様な学問分野に触れてから専門選択したい、というニーズも増えております。受け身で与えられた課題をこなせばよいという意識ではなく、いろいろなことに興味・関心を持ち、自分から積極的に学んで行きたいという意識を持つ学生を期待しています。社会のさまざまな課題やテーマに触れることができるような授業を1年次から履修しますので、その中で自分が取り組む課題などを見つけていくカリキュラムを用意しております。
  • 創生学部は様々な学問の中から学びたいことを選べるというメリットがあると思うが、免許や資格(教員免許など)の取得も可能にして頂きたいと考えている。
    (回答)創生学部は通常の学部と異なり、学生自身が4年間の学修目標を定めて自由度の高い学びを進める形です。逆に言えば学修内容が固定されていないことから、この学部の卒業により取得できる資格等は設定されておりません。また教員免許についても課程認定を受けておりませんので、どうしても教員免許を取得したいという場合には、課程認定を受けている学科などを目指していただくのが近道と思います。もちろん、個人で受検可能な資格等については当然ですが取得可能です。
  • 理系の場合、工学部、農学部や理学部などの学部への進学との違いをどのように生徒に説明したらよいか?
    (回答)ここでは卒業研究を例に説明致します。理系学部の場合、学生の卒業研究は指導教員に指定されて決まるのが一般的です。一方、創生学部の場合、卒業研究の課題やテーマは学生それぞれが興味・関心に基づいて主体的に設定し、その課題・テーマに対するアプローチ方法として学問分野や研究室(ゼミ・ラボ)を選択することになります。すなわち、教員の専門性と学生の研究テーマを一致させる必要はありません。創生学部の教員は、学生の興味・関心に応じて、研究の方法や心構え、各種研究ツールの活用法、成果のまとめ方などを教授します。また、テーマ設定によっては、専門性の近い他学部の教員の指導を受けられる場合があり、さらにその研究室所属の大学院進学の実績をあげています。
  • 「大学でやりたいことが絞りきれない、まだ決まっていない」という生徒は多い。そのような生徒にとっては、とても魅力的な学部だと思う。ただ、新潟大学ではNICEプログラムを実施しており、創生学部の魅力と特色が見えにくい。
    (回答)創生学部は、主に学ぶ専攻分野を入学後に選ぶことができ、NICEプログラムは、入学した学部の専攻を軸として、空き時間を利用して、あるテーマを副次的に学ぶことができる、という点が異なります。つまり、創生学部の魅力は、主に学ぶ内容を自分でデザインできることです。自ら設定した課題に対して目的意識を強く持ち、既存の学問分野にとらわれることなく、必要な知やスキルを修得しながら、自分事として探究や解決に取り組むプロセスを学ぶことそのものが、創生学部における主専攻であり、これからの時代において求められているスキルである、と言うこともできます。
  • 様々な視点を学べるのは良いと思うが、他学部に比べて専門性が薄くなる印象がある。
    (回答)目的意識を持って主体的に学ぶ姿勢があれば、自ずと知識は深まっていきます。特に課題解決型学修を通じ、自分事として実践を伴って得られる知は定着しやすく、後々組み換えて活用できる生きた知となります。他にも論理的に考える力、データの取り扱い、資料調査能力、問題への柔軟な思考やアプローチ、協働力、コミュニケーション力、プレゼン力、壁に直面した際の姿勢など、社会で活躍するために必要な基礎力全般が身に付きますし、これらは狭い専門性を超え、これからの時代を生きる上で必要な、幅広でしなやかな専門性の獲得に向けて強力な武器となります。また、卒業後にさらに深く研究を進めたい場合には、新潟大学もしくは他大学への大学院進学も十分可能な専門知識を修得できます。