【研究報告】 創生学部・自然科学研究科の小山翔子助教が参画し、中心的役割を果たしている80機関、300名以上の研究者からなる国際共同研究プロジェクト、Event Horizon Telescope (EHT)が、世界の望遠鏡を組み合わせで、直径1万キロメートルを持つ地球サイズの仮想的な望遠鏡を構成し、波長1.3mmの電波を観測して天の川銀河の中心にある巨大ブラックホール・いて座A*(地球から距離2万7000光年)を捉えることに成功した。
天の川銀河の中心にも巨大ブラックホールが存在することを初めて決定づける視覚的かつ直接的証拠を得た。撮影は2017年に行われたが、いて座A*が時間変動しており、またその時間スケールが観測時間に対して高速であるため、時間平均された画像の推定法の開発をする必要があるなど、解析や科学的検討を5年間に渡り積み重ねてきた成果。
この研究により、いて座A*のシャドウのサイズは直径6000 万kmであり、これは一般相対性理論の予言とよく一致することが明らかとなるなど、今後一般相対性理論のさらなる検証や、私たちが住む天の川銀河の理解へむけた大きな一歩である。
小山翔子先生のコメント
「EHTのいて座A観測では、画像化作業班に参加し、従来法を使った画像化に取り組みました。いて座Aの速い時間変動は画像化を行う上での障壁となりましたが、若手研究者を中心としてEHTコラボレーションに参加する世界中の研究者が知恵を出し合うことで乗り越えることができました。これによって、EHTがブラックホール撮影の2大目標として掲げてきた天体である、いて座A*、M87巨大ブラックホール、双方の撮影を遂に達成したことになります。今後は、私も携わるグリーンランド望遠鏡が加わったことで、巨大ブラックホールやその周辺のさらに高感度で高解像度な画像が得られ、新たな知見が得られるようになることをとても楽しみにしています。」
小山先生による高校生向けのブラックホールの講義動画は、こちらからご覧になれます!
https://douga.yumenavi.info/Lecture/PublishDetail/2021000933?back=
本発表の記者会見の様子(動画)はこちらからご覧になれます。
https://www.nao.ac.jp/news/sp/20220512-eht/
新潟大学のHP記事はこちら。
https://www.niigata-u.ac.jp/news/2022/149158/