教授 熊野 英和HIDEKAZU KUMANO
リテラシー学修主担当
- 専門分野
- 物理学・電気電子工学・情報学基礎
- 研究室
- 工学部A棟
- 所属/前職
- 自然科学系(創生学部)
受験生へのメッセージ
社会は今、大きな変革期にあります。皆さんは、先人や今の大人達の常識や価値観がそのままの形では通用しない時代を生きることになります。地図なき道を進むことになりますが、この時頼りとすべきは、自らが主体的に獲得して、次に使える「活きた知」です。創生学部での実践を通じて、経験に裏打ちされた知を追求しよう!
略歴
1970年生まれ。1996年北海道大学理学研究科物理学専攻修了後、昭和電工(株)研究員として青色発光ダイオードの研究開発に従事。1997年より北海道大学電子科学研究所助手。学位取得(博士(工学) 2004年)を経て、 2007年北海道大学電子科学研究所 准教授。北海道大学情報科学研究科協力講座教員を兼務。化合物半導体ナノ構造(III-V族、II-VI族、酸化物、窒化物半導体等)の光物性と新規機能発現の研究を進めるとともに、量子力学を用いた、盗聴が原理的に不可能な通信(量子情報通信)に用いられる量子光源デバイスの研究開発を実施。2017年4月より、新潟大学創生学部教授(現職)。
技術一般のフロントエンドが一段と人間に近づき、無意識化されていくことはユーザーとしては望むべき方向であるが、一方で総ユーザー化は「なぜ? どうして? すごい!」といった、科学や技術へ新鮮な驚きや興味を持つ機会を奪う側面があることは否定できない。資源に乏しい我が国で生命線であるべき科学や技術に対する無関心化がじわじわと広がる現状を憂い、子供たちに向けた理科教室や高校生を対象とした研究室体験入学等、各種の科学啓発活動を主宰。
関心のある教育研究開発テーマ
- テーマ1
- 量子情報デバイスとその社会課題解決への適用
- テーマ2
- 物理、材料、ハード/ソフトウェア、実装技術、システム開発、コスト管理等、俯瞰的視点を持った科学技術者の養成
- テーマ3
- 半導体ナノ構造を用いた機能向上と新規機能開発
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半導体の光学特性を評価するための光学系・装置群の一部。レーザー光源、検出器、各種光学素子、冷凍機、自動ステージ等で構成される。これらの大部分はコンピュータ制御で駆動可能で全自動測定に対応し、長時間に渡る複雑な測定の際のヒューマンエラーを排除している。
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微細加工技術により作製した半導体ナノ構造試料の電子顕微鏡写真(上)、およびその基礎光学スペクトル(下)。輝線一本がバンド構造から分離された単一の電子状態からの光学遷移による発光である。従来の光とは異なる統計性を持ち、様々な「新奇な機能」を持ち得る。
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2つの光子の間に、物理状態は常に定まっているとする古典論の立場からは決して説明できない、量子論特有の強い相関関係が存在することを示す「ベルの不等式の破れ」を実験的に検証した結果(左下)と使用した実験系の概略図。
研究キーワード
- 量子情報科学
- Quantum information Science
- 量子シミュレータ
- Quantum simulator
- 固体量子光源
- Solid-state quantum photon sources
- 産業構造改革を見据えた科学技術人材育成
- STEM education for Society 5.0
関連リンク
- https://create.niigata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2019/05/rikka_kumano.pdf
関心のある課題
- 省電力デバイスとエネルギーハーベスティング
- IoTがもたらす社会構造変革への対応
- 量子コンピューティングによる組み合わせ最適化問題へのアプローチ
- IoT社会のセンシング・ネットワーク
- プログラミング教育とモノづくり実践の融合教育方法論
学生時代からどのように課題発見・探求を続けてきましたか?
課題解決のためにどのようなアプローチをとりましたか?
どのような教育・研究をしてきましたか?
学生時代は理学部に所属し、純粋に「自然のしくみ」がどうなっているのか?に興味を持っていました。特に光や電子の基礎的な性質と、それらが多数集まったときに示す多彩で複雑な性質の解明が面白く、物理学科の光物性研究室に進んで半導体の研究を開始しました。ちょうどナノテクノロジーが大きく進展した時期とも重なり、半導体の世界では低次元化が急速に進展し、新たな機能が次々と誕生する、非常に刺激的な研究環境でした。微細化が進む中で、電子の集団運動が機能を担う従来型のデバイスの限界がより現実的なものとなり始めたこともあり、量子力学を指導原理とする全く新しい量子デバイスの研究へと自然と移行し、現在は単一電子を単一光子に変換する量子光源デバイス、量子もつれ光子対状態生成に基づく量子情報科学、またその応用として現代社会の難問の多くが属すると考えられている組み合わせ最適化問題を、量子力学の重ね合わせの原理を用いて従来計算機に比べて桁違いの速度で解くことのできる、量子シミュレータの研究に取り組んでいます。学生指導については、個々の主体性を重視し、意欲的に取り組めるよう適切な距離感を取って導くよう心がけています。
創生学部の教員として挑戦したいこと
ダ・ビンチは『知恵は経験の娘である』と言い、 アインシュタインは『何かを学ぶためには、自分で体験する以上にいい方法はない』と遺しています。大教室での従来型教育では十分に行き届かなかった実践・体験型学修を推進し、学生個々の意欲や興味に対応した課題解決型の教育を少人数教育の場で展開します。この過程で、学生が学ぶ意義・必要性を得心し、自己効力感を高めながら自らの描く将来ビジョンを見据えて意欲的に学ぶ自律学修のスタイル確立を促します。情報技術(IT)の活用を中心とした学生のニーズに柔軟に対応した課題設定によって学修効果を高め、激動の社会を生き抜くのに必要な「活きた知」の積み上げ支援に力を尽くします。
メッセージ
高校生の方
社会は今、大きな変革期にあります。皆さんは、先人や今の大人達の常識や価値観がそのままの形では通用しない時代を生きることになります。地図なき道を進むことになりますが、この時頼りとすべきは、自らが主体的に獲得して、次に使える「活きた知」です。創生学部での実践を通じて、経験に裏打ちされた知を追求しよう!
高校生の保護者・教育関係者の方
人の仕事を代替する技術が広まり、社会の構造変化は今後劇的に進みます。今の高校生が一線に出る20年後の予測は困難で、今日の安定は明日の衰退かも知れません。熱意を持って真の基礎力を身に着け、柔軟な思考と判断ができれば、どんな社会でも分野でも道は拓けます。生徒には旧来の価値に捉われない志あるアドバイスを!
地域の方
情報技術が社会基盤となり、高い技術力や活用力を備えた人材の育成が急務です。講義で知識を詰め込む旧態依然の受動的学習ではなく、大学の枠を超え、実社会に出て具体的な課題に触れ、解決へと繋げる「実践力」を重視した指導を行います。地域との協同による指導機会も増やして行きたいと考えています。是非お力添えを!
企業の方
新潟大学創生学部は従来の大学教育と異なり、少人数教育の下で課題解決型学修を学部規模で挑戦的に進めます。様々な実践課題を通じて学びに対する意欲やチームの一員としての使命感を養い、学生が主体的に自らを高め、課題に立ち向かう姿勢を涵養します。産学/地域連携による課題解決に、是非ご支援よろしくお願いします!
新潟大学全構成員の皆様
創生学部では、少人数教育・課題解決型の学修アプローチによる学生の意欲・向上心の涵養を図ります。学部の枠を超えて全学の研究・教育資源を活用することが前提となっており、全学の皆様のご理解・ご協力が不可欠です。前例はほぼない方法論であり、建設的な試行錯誤が不可避と思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。